Q. 発音は大事ですか? A. はい。ただし...
先日の例会で参加者の一人が次のようなお話をしてくれました。
ママ友の車で移動中、車内でABCソングをかけていたそうで、理由を聞くと
ママ友はお子さんに英語の早期教育を行なっており、日頃から英語に慣れさせよう
としているとのことでした。
ママ友曰く、
英語は小さい頃から発音を身につけさせないと!
大人になってからじゃ遅いから!
発音が悪いと英語が通じないから!
とのこと。
大人になってから英語学習の面白さに気づいたその方はカチンときたようで、
そのことがきっかけで英語学習に更に火がついたとか笑
個人的には発音は大事だと思います。
ただし、それは
リスニングのためであって、
スピーキングのためではありません。
どういうことか、順を追って説明します。
- リスニングのための発音
私たちは聞き取れないものは話せません。
赤ちゃんが喋り始めるまでの過程を想像してみて下さい。
赤ちゃんが喋り始める前には、必ずお母さん、
お父さんがたくさん喋りかけています。
赤ちゃんはその音をよく聞き、
口の形を真似ることで初めて自分で口にできるのです。
大人も基本的には一緒です。
正しく発音する前に、正しく聞き取れなくてはいけません。
英語の音を正しく聞き取れないとリスニングが伸びないので
"リスニングのための発音"は非常に重要な意味合いを持ちます。
それと比較すると、正しく発音すること自体、すなわち
"スピーキングのための発音"はそれほど重要ではありません。
その理由は後述します。
具体的にどうやってリスニングのための発音を学んでいくかについては
非常に長くなるので別記事にしたいと思います。
- スピーキングのための発音
上で触れた通り、多くの人にとってスピーキングのための発音、
言い換えれば正しい発音で会話をすることは不要だと思っています。
それは以下の2つの理由によります。
- 発音が悪くても会話が成立する。
これは英語を話したことがある方なら誰でも経験したことだと思います。
私も初めての海外旅行で文法・発音がむちゃくちゃな英語でも意外と通じるんだ!
と妙に感動したことを覚えています。
リスニングのための発音を習得し、ある程度発音の基礎が身につけば、
特にそれ以上発音にこだわる必要はありません。
英会話で重要なのは自分の考えを明確に伝えることであり、発音は二の次なのです。
- すらすら喋れるようにならないと、発音が活きない。
スピーキングにおいて"発音"と言った場合、
それはただ単に個々の単語の発音だけでなく、
抑揚やリズム、単語間の音の連結(リンキング)や脱落(エリジョン)など、
より包括的な意味合いを持ちます。
そしてそれらは全て淀みなく英語を話せることを前提とします。
言い換えれば、それらを習得する前に
すらすら英語が出てくるようになるトレーニングをする方がずっと大切なのです。
ただ当然、ある程度すらすら話せるようになった暁には
いずれ通る道となりますので、練習法などについて
後日別記事を書きたいと思います。
冒頭のママ友の話に戻ると、結論は以下のようになります。
発音を学ぶことは英語学習法としては間違っていません。
ただし、それは英語にどういう音が存在し、
それらを聞き分けられるかが最も重要であって、
スピーキングにおいてはそれほど重要ではありません。
なぜなら過度に発音に意識を向けてしまうと
スムーズなスピーキングの妨げになるからです。
それよりもまずはすらすら英語が出てくる練習をすべきで、
スピーキングのための発音トレーニングはその後で十分なのです。